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自分で直せるタンク内の簡単トラブル
トイレのタンクに水がたまらない時、すぐに専門業者を呼ばなければと焦る必要はありません。実は、その原因の多くは、特別な工具を使わずに自分で解決できる簡単なトラブルである可能性があります。業者に依頼する前に、まずはこれから紹介するいくつかのポイントを自分でチェックしてみてください。最初に確認すべきは、最も基本的で、そして意外に見落としがちな「止水栓」です。トイレの横や後ろの壁、あるいは床から出ている給水管の途中にある、マイナスドライバーで回せるネジ状の栓がそれです。掃除の際に誤って触ってしまったり、子供がいたずらで回してしまったりして、閉まっていることがあります。これが閉じていれば、当然タンクに水は供給されません。まずは止水栓がきちんと開いているかを確認しましょう。次に、陶器製の重いタンクの蓋を慎重に開けて、内部を点検します。ここで注目すべきは三つの部品です。一つ目は「ボールタップ」とその先についている「浮き球」です。この浮き球がタンクの壁や他の部品に引っかかっていると、水位が下がっているのに給水が始まらないことがあります。手で軽く動かしてみて、スムーズに上下するかを確認してください。二つ目は、排水口を塞いでいるゴム製の栓「フロートバルブ」と、それを引き上げるための「レバーハンドルからの鎖」です。この鎖が他の部品に絡まっていたり、長すぎたり短すぎたりすると、フロートバルブがきちんと閉まらず、便器へ水がちょろちょろと漏れ続けてしまいます。その結果、いつまで経ってもタンクが満水になりません。鎖が絡んでいないか、長さは適切か(少しだけたるむ程度がベスト)を確認しましょう。最後に、レバーを操作しても鎖が動かない場合は、レバーと鎖をつなぐアームが折れている可能性もあります。これらの簡単なチェックだけで、驚くほど多くの「水がたまらない」トラブルは解決します。
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トイレに水がたまらない原因は二つある
毎日何気なく使っているトイレで、レバーを引いても水が流れない、あるいは便器の水が異常に少ないといったトラブルに遭遇すると、多くの人はパニックに陥ってしまいます。この「トイレに水がたまらない」という現象は、実は大きく分けて二つの異なる原因系統に分類できます。それは、「タンクに水がたまっていない」ケースと、「便器に水がたまっていない」ケースです。このどちらの状況なのかを正しく見極めることが、問題解決への最初の重要な一歩となります。まず、レバーを操作しても手応えが軽く、水が流れる音がしない場合は、「タンクに水がたまっていない」可能性が高いです。タンクが空になる原因として最も初歩的なのは、壁や床にある止水栓が何らかの理由で閉まっていることです。次に考えられるのが、タンク内部品の不具合です。タンクに水を供給するボールタップという部品の浮き球が引っかかっていたり、内部のフィルターがゴミで詰まっていたりすると、給水が正常に行われません。また、タンクの底で栓の役割をしているフロートバルブが劣化し、便器へ常に水が漏れ続けているため、いつまで経ってもタンクが満水にならないというケースも非常に多いです。一方、タンクからは正常に水が流れるのに、便器の水位が極端に低い、あるいは下水の臭いが上がってくる場合は、「便器に水がたまっていない」状態、いわゆる「封水切れ」が考えられます。この原因としては、トイレットペーパーなどの詰まりによって排水管内の水が引っ張られてしまう誘引現象や、長期間家を空けたことによる水の蒸発が挙げられます。また、タンク内で便器に水を補給する役割の細いチューブ(補助水管)が外れているという意外な原因も考えられます。このように、同じ「水がたまらない」という症状でも、原因は全く異なります。まずはタンクの蓋を開けて中を確認し、問題がタンク側にあるのか、それとも便器・排水管側にあるのかを冷静に判断しましょう。