洗面台が流れない小さな排水口の大きな悩み

それは、忙しい朝の準備中の出来事でした。顔を洗い、歯を磨き、さて水を流そうとしたら…あれ?水が溜まっていく。普段ならサーッと流れていくはずの水が、洗面ボウルの中にどんどん溜まっていくのです。完全に詰まっているわけではないけれど、流れは恐ろしく遅い。「よりによって、こんな時間に…」と焦りましたが、放置するわけにもいきません。まずは、排水口の栓(ポップアップ式の栓でした)を引き上げ、見える範囲に絡まっている髪の毛などを取り除いてみました。しかし、状況は変わりません。次に思いついたのが、トイレ用に買ってあったラバーカップ、通称「すっぽん」です。洗面台には少し大きいかなと思いつつも、オーバーフロー穴を濡れたタオルで塞ぎ、排水口に押し当てて数回試してみました。しかし、手応えはほとんどなく、効果は見られません。これは困った。原因は何だろう?最近何か固形物を落とした記憶はないし、やはり髪の毛や石鹸カスが奥で固まっているのだろうか。業者さんを呼ぶしかないかな、と思い始めた時、ふとホームセンターで見かけた道具のことを思い出しました。針金のようなブラシがついた、「パイプクリーナーブラシ」あるいは「ワイヤーブラシ」と呼ばれるものです。「もしかしたら、これで物理的に掻き出せるかも?」一縷の望みを託し、急いで近所のホームセンターへ走り、手頃な価格のワイヤーブラシを購入してきました。帰宅後、早速試してみます。ブラシの先端を排水口にゆっくりと差し込んでいくと、数センチ入ったところで何かに突き当たりました。そこから、ブラシを回転させたり、軽く前後させたりしてみます。すると、ブラシを引き抜いた時に、驚くほどの量の髪の毛と、ヘドロ状になった石鹸カスがごっそり絡みついてきたのです!「うわっ」と思わず声が出ましたが、これが原因だったのかと確信。何度か同じ作業を繰り返し、ブラシに汚れが付かなくなるまで掻き出しました。そして、おそるおそる水を流してみると…見事に、スムーズに水が流れていきます!あの詰まりが嘘のようです。本当に安堵しました。この経験を通して、諦めずに適切な道具を試してみることの大切さを実感しました。そして、これからは洗面台の排水口にもネットを付けたり、こまめに髪の毛を取り除いたりして、日頃のケアを怠らないようにしようと心に誓ったのでした。小さな排水口も、油断は禁物ですね。