それはある夏の日のことでした。いつものように仕事から帰り、疲れた体を癒そうとお風呂場へ向かった瞬間、「ん?なんだか臭う…」と感じたのです。今まで気にしたこともなかった、どんよりとした嫌な臭い。気のせいかと思い、その日はそのまま入浴しましたが、翌日も、その次の日も、臭いは消えるどころか、むしろ強くなっているような気さえしました。これは本格的に対策しなければ、と重い腰を上げたのです。最初に疑ったのは、やはり排水口です。マンションに住み始めてから数年、正直あまり念入りに掃除した記憶はありませんでした。髪の毛キャッチャーのゴミは捨てていましたが、その奥は見て見ぬふり。意を決して排水口のカバーとヘアキャッチャーを外し、中のトラップ部品も分解できる範囲で外してみました。すると…出るわ出るわ、ヘドロ状になった髪の毛や石鹸カスが!思わず顔をしかめながらも、ブラシと洗剤で徹底的に掃除しました。これで解決するだろう、と期待したのですが、残念ながら臭いは完全には消えませんでした。次に疑ったのは換気扇です。フィルターを見てみると、埃がびっしり。これも掃除し、換気扇をいつもより長時間回してみましたが、状況はあまり変わりません。途方に暮れかけた時、ふと目に入ったのが浴槽の側面についているエプロンでした。そういえば、この中ってどうなっているんだろう?説明書を引っ張り出し、恐る恐るエプロンを外してみました。その瞬間、今まで感じていた臭いが凝縮されたような、強烈なカビ臭さが鼻をつきました。内部は、湿気で壁や床が黒ずみ、赤カビや黒カビが広範囲に発生していたのです。原因はこれだったのか!と確信し、カビ取り剤を片手に、マスクとゴム手袋で完全防備して掃除に取り掛かりました。狭い空間での作業は大変でしたが、カビがみるみる落ちていくのを見ると、達成感がありました。全てのカビを取り除き、しっかりと乾燥させてからエプロンを戻すと、あれほど悩まされていた浴室の嫌な臭いが嘘のように消えていたのです。本当にスッキリしました。もしマンションのお風呂の臭いで悩んでいる方がいたら、排水口だけでなく、浴槽のエプロン内部もぜひチェックしてみてください。少し大変ですが、解決の糸口が見つかるかもしれません。
投稿日