トイレの床が常に湿っていたり、わずかな水たまりができていたりする時、それは「じわじわ水漏れ」のサインかもしれません。このタイプの水漏れは、急な破裂のように大量の水が溢れ出すわけではないため、見過ごされがちです。しかし、ゆっくりと着実に被害が進行し、最終的には想像以上に深刻な事態を招く可能性があります。最も直接的な問題は、建材へのダメージです。トイレの床は通常、水に強い素材で作られていますが、じわじわと続く水濡れには耐えられません。木材であれば腐食が進み、床が沈んだり、きしむ音が出たりする原因となります。合板やフローリングの表面が剥がれたり、クッションフロアの下に水が染み込み、接着剤が劣化して浮き上がったりすることもあります。これらの損傷は、見た目を損なうだけでなく、床の強度自体を低下させ、最悪の場合、床が抜け落ちる危険性さえあります。次に、健康面への影響も無視できません。湿った環境はカビにとって最適な繁殖場所です。水漏れが続く床下や壁の内部は、カビの温床となりやすく、やがてカビの胞子が室内に拡散します。カビの胞子は、アレルギー性鼻炎、喘息、皮膚炎などのアレルギー症状を引き起こしたり、既存の呼吸器疾患を悪化させたりする原因となることがあります。特に、小さなお子様や高齢者、アレルギー体質の方がいるご家庭では、カビの発生は深刻な健康被害に繋がりかねません。さらに、シロアリの発生リスクも高まります。シロアリは湿った木材を好むため、水漏れによって湿った床下や壁の内部は、シロアリにとって理想的な生息環境となります。シロアリが一度侵入すると、柱や土台など住宅の主要構造材を食い荒らし、建物の耐久性を著しく低下させます。シロアリ被害は発見が遅れがちで、気づいた時には大規模な駆除と修繕が必要となることが多く、高額な費用が発生します。このような深刻な事態を避けるためにも、トイレの床にわずかな湿り気や異変を感じたら、決して放置せず、早めに専門業者に診断を依頼することが肝心です。
トイレの床が濡れている?じわじわ水漏れが招く深刻な事態