蛇口から水が漏れている時、その原因は内部のパッキン劣化だと考えがちです。それは間違いではありませんが、実は水栓の種類によって構造や使われている部品が異なり、水漏れの原因箇所や修理の難易度も大きく変わってきます。自宅の水栓がどのタイプなのかを正しく理解することが、適切な対処への第一歩であり、無駄な手間や失敗を避けるための重要な知識となります。 最も古くからある基本的なタイプが、お湯と水のハンドルが二つに分かれている「ツーハンドル混合栓」です。この水栓の構造は比較的シンプルで、水漏れの多くはハンドル内部のスピンドルという部品に取り付けられたコマパッキンや、ハンドルの付け根にある三角パッキンの劣化が原因です。部品も安価で手に入りやすく、構造を理解すればDIYでの修理もそれほど難しくはありません。 一方、現在多くの家庭で主流となっているのが、一本のレバーを上下左右に動かして水量と温度を調節する「シングルレバー混合栓」です。このタイプの水漏れは、パッキンではなく「バルブカートリッジ」という精密な部品の故障が原因であることがほとんどです。カートリッジが内部で摩耗したり破損したりすることで、水が完全に止まらなくなります。修理にはこのカートリッジ自体を交換する必要があり、ツーハンドル混合栓のパッキン交換に比べるとやや複雑な作業となります。 浴室でよく見かける、温度設定の目盛りがついた「サーモスタット混合栓」はさらに構造が複雑です。温度を自動で調節するユニットが内蔵されており、この部分の不具合が水漏れにつながることもあります。このような特殊な機能を持つ水栓は、原因の特定が難しく、専門的な知識がなければ分解や修理は困難です。自宅の水栓がどのタイプかを確認し、もし構造が複雑で自分で対処することに少しでも不安を感じるならば、無理は禁物です。早めに専門の水道業者に点検を依頼することが、問題を確実かつ安全に解決するための最も賢明な判断と言えるでしょう。