それは、一日の仕事の疲れを癒やすため、至福のバスタイムを楽しみにしていた、冷たい冬の夜のことでした。太宰府市で水道管水漏れした配管を交換すると浴室の蛇口をひねり、シャワーからお湯が流れ出してくるのを待つ。いつもなら数秒で温かいお湯に変わるはずなのに、その日に限っては、いつまでたっても突き刺すような冷水しか出てこなかったのです。 最初は、ただお湯になるまで時間がかかっているだけだろうと、楽観的に考えていました。しかし、1分経っても、2分経っても、水の温度は一向に変わらない。嫌な予感が胸をよぎり、キッチンや洗面所の蛇口もひねってみましたが、結果は同じでした。茨木市が水漏れトラブルから修理した専門チームを家中どこからも、お湯が一滴も出ない。この瞬間、我が家の快適な日常を支える心臓部、給湯器に何らかの異常が発生したのだと、私は悟りました。 まず確認したのは、給湯器のリモコンパネルです。液晶画面には、普段見慣れない「エラーコード」が表示されていました。数字とアルファベットが組み合わされた、まるで暗号のようなその表示は、私に「何かがおかしい」という事実を突きつけるだけで、その原因までは教えてくれません。私はすぐにスマートフォンのカメラでそのコードを撮影し、取扱説明書を引っ張り出しました。説明書の巻末にあるエラーコード一覧と照らし合わせると、そのコードは「点火不良」を示していることが分かりました。ガスは供給されているのに、火花が飛ばず、お湯を沸かすための燃焼が始まっていない、という状態です。 説明書には、対処法として「一度、給湯器の電源をリセットしてみてください」と書かれていました。私は屋外に設置された給湯器本体の電源プラグを一度抜き、数分待ってから再び差し込みました。そして、祈るような気持ちで、再びお風呂の蛇口をひねる。しかし、期待も虚しく、出てきたのはやはり冷たい水だけでした。エラーコードも、無情に再点灯しています。もはや、素人の手でできることは何もない。私はそう判断し、深夜にもかかわらず、インターネットで24時間対応を謳うガス修理業者を探し始めました。 しかし、ここで私は一度冷静になる必要がありました。深夜の緊急対応業者は、確かに心強い存在ですが、その分、料金が割高になる傾向があります。また、焦りから、じっくりと業者を比較検討する余裕がなく、思わぬ高額請求や質の低い工事といった、二次的なトラブルに巻き込まれるリスクも否定できません。給湯器の寿命は、一般的に10年前後と言われています。我が家の給湯器は、設置から既に12年が経過していました。もしかしたら、これは単なる一時的な故障ではなく、製品としての寿命を全うしたサインなのかもしれない。 私は、その夜お風呂に入ることを諦め、一つの決断をしました。それは、「今夜は無理に直そうとせず、明日、正規のガス会社や信頼できる地元の設備業者に連絡し、修理と交換の両方の見積もりを取ってから、じっくり判断しよう」というものでした。幸い、冬とはいえ、カセットコンロでお湯を沸かせば、体を拭いたり、食器を洗ったりする最低限のことはできます。一晩の不便を我慢することで、数万円、あるいは数十万円の出費に関わる重要な判断を、冷静に行う時間を得る。それが、長期的に見て最も賢明な選択だと考えたのです。 翌朝、私は早速、契約しているガス会社と、近所で評判の良い設備業者の二社に連絡を取りました。状況を説明すると、どちらの業者もその日のうちに点検に来てくれることになりました。点検の結果、二社ともに同じ見解でした。「経年劣化による点火装置の故障で、部品を交換すれば修理は可能ですが、他の部品もいつ寿命を迎えるか分かりません。12年お使いであれば、安全性と今後のランニングコストを考えても、省エネ性能の高い新しい給湯器に交換されることをお勧めします」。提示された修理費用と、新しい給湯器への交換費用を比較検討した結果、私は交換を選択しました。 お湯が出ないというトラブルは、私たちの生活を根底から揺るがす、深刻な事態です。しかし、その緊急事態に直面した時こそ、焦らず、一度立ち止まって冷静に状況を分析することが求められます。目の前の不便を解消するためだけに短期的な修理を繰り返すのか、それともこれを機に、長期的な視点で住設全体のアップデートを考えるのか。その冷静なる選択こそが、将来の快適で安全な暮らしを守るための、最も重要な分岐点となるのです。
ある日突然、お湯が出ない!給湯器トラブルと冷静なる選択