火災・地震!緊急避難と鍵の役割
大規模な地震による激しい揺れ。あるいは、隣家から立ち上る、危険な煙と炎。そんな、一刻を争う緊急事態が発生した時、私たちの命を守るための、最後の出口となるのが「玄関のドア」です。しかし、その時、もし、その扉の「鍵」が、私たちの脱出を阻む壁となってしまったら。私たちは、日頃から、災害という非日常を想定した、鍵との付き合い方を、考えておく必要があります。まず、地震の際に起こりうる、最も危険な鍵のトラブルが、「ドア枠の歪みによる、開扉不能」です。大きな揺れによって、建物全体が歪み、ドアとドア枠が圧迫されることで、デッドボルト(かんぬき)が動かなくなり、施錠・解錠ができなくなる、あるいは、そもそもドアが開かなくなるという事態です。これに備えるためには、日頃から、バールなどの工具を、玄関近くの、すぐに取り出せる場所に常備しておくことが有効です。また、玄関だけでなく、ベランダの窓など、複数の避難経路を確保しておくことも重要です。次に、火災の際に問題となるのが、煙による視界不良と、パニック状態での鍵の操作です。特に、高齢者や、認知症の方がいるご家庭では、複雑な操作を要する防犯サムターンなどが、かえって避難の妨げになる可能性も考慮しなければなりません。家族全員で、緊急時の鍵の開け方を、定期的にシミュレーションしておくことが、命を守る訓練となります。さらに、近年、徘徊防止のために、玄関を外から施錠しているご家庭も増えていますが、これは火災時には、極めて重大なリスクとなります。もし、外鍵を設置する場合は、必ず、煙感知器と連動して、自動的に解錠されるシステムを導入するなど、二重三重の安全対策を講じることが、絶対的な条件です。