それは突然の出来事ではなく、ある日気づくと、という感じでした。トイレの床、便器の根元あたりがなんとなく黒ずんでいることに気づいたのは、ある梅雨の時期でした。最初は単なる汚れか、湿気によるものだろうと軽く考えていました。しかし、拭いても拭いても湿り気があり、黒ずみが広がるにつれて、嫌なカビの臭いが漂ってくるようになりました。「これはおかしい」と思い、よくよく観察すると、便器の根元からじわじわと水が滲み出ていることにようやく気づいたのです。慌てて夫に相談し、インターネットで「トイレ 水漏れ 床」と検索。すると、カビの発生や床材の腐食、さらにはシロアリ被害に繋がる可能性があるという情報が目に飛び込んできました。私たちは青ざめました。特に怖かったのは、カビの健康被害です。喘息持ちの子供がいたため、このまま放置するわけにはいかないとすぐに判断し、週末でしたが対応してくれるという水道業者に電話しました。業者の方が到着し、まず便器の周りの床材を確認。やはり、すでに床の木材の一部が腐り始めているとのことでした。便器を外し、原因を特定してもらうと、便器と排水管を繋ぐ「排水フランジ」と呼ばれる部品が劣化し、わずかな隙間から排水時に水が漏れ続けていたことが判明しました。じわじわと漏れた水が、長い時間をかけて床下を湿らせ、カビを繁殖させていたのです。修理は、劣化したフランジの交換と、傷んだ床材の一部補修となりました。作業中、床下から上がってきたカビの臭いは想像以上にひどく、プロの業者さんもマスクをしての作業でした。幸い、シロアリの被害はなかったものの、もし発見が遅れていたらと思うとゾッとしました。この経験から学んだのは、水回りの「じわじわ水漏れ」は、見た目以上に深刻な問題だということです。些細な異変でも見逃さず、早めに専門家に見てもらうことの大切さを痛感しました。あの時のカビの臭いは、今でも忘れられません。
トイレ床水漏れとカビの恐怖